パクる
「逮捕する」と「盗む」の二重の意味を持つ日本の裏社会の隠語。警察側・犯罪者側の双方で使われ、文脈によって意味が大きく異なる特殊な俗語である。
概要
「パクる」は、日本語の俗語の中でも特異な位置を占める言葉であり、大きく分けて二つの意味を持つ。一つは「逮捕する・捕まえる」という警察側の行為を指す意味、もう一つは「盗む・窃取する」という犯罪行為そのものを指す意味である。いずれの用法も裏社会やアウトロー文化の中で広く使われてきたが、現在では一般社会にも浸透し、日常会話でも軽い意味合いで用いられることがある。
語源
「パクる」の語源には諸説あるが、有力とされるのは以下の二つである。
第一に、「ぱくっと食べる」「ぱくりと口に入れる」という擬態語から派生したとする説がある。素早く口に入れる動作が、物を素早く盗み取る行為や、警察が犯人を素早く捕らえる行為に重ねられたとされる。
第二に、明治期以降の警察用語として「縛る(ばくる)」が転訛したとする説もある。手錠をかけて身柄を拘束する行為が「ばくる」と呼ばれ、やがて「パクる」へと変化したという見方である。
いずれの説にしても、江戸時代後期から明治期にかけて成立した比較的新しい俗語であり、戦後の犯罪小説やヤクザ映画の隆盛とともに広く認知されるようになった。
詳細
「逮捕する」の用法
警察・検察関係者やその周辺で使われる場合、「パクる」は主に「逮捕する」「身柄を確保する」の意味で用いられる。「あいつはパクられた」と言えば、「あいつは逮捕された」という意味になる。裏社会においては、仲間が逮捕されたことを素早く伝える際に多用される表現であり、ガサ入れ(家宅捜索)の結果として「パクられる」ケースも多い。
「盗む」の用法
犯罪者側の隠語としては、「パクる」は「盗む」「窃取する」の意味で使われる。万引き・置き引き・車上荒らしなど、物品を不法に自分のものにする行為全般を指す。「店からパクってきた」「財布をパクられた」などの用例が典型的である。
現代における用法の拡大
近年では、著作物やアイデアを無断で模倣・盗用する行為を「パクる」と表現することも一般化している。「あのデザインはパクりだ」「曲をパクった」といった用法は、犯罪的なニュアンスは薄れているものの、元来の「盗む」という意味の延長線上にある。
関連用語
参考・注意事項
この記事は裏社会用語の解説を目的としており、犯罪行為を推奨・美化するものではありません。窃盗は刑法第235条により10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる犯罪行為です。