ヤクザ
日本の組織犯罪集団の構成員、またはその世界全体を指す通称。語源はカブ札の「八・九・三」で役に立たない手札を意味する。
概要
ヤクザとは、日本における組織犯罪集団(暴力団)の構成員、またはその社会全体を指す最も広く知られた通称である。海外でも "Yakuza" としてそのまま通用する日本語の一つとなっている。
法律上は「暴力団」、自称としては「極道」「任侠」が用いられるが、一般社会・メディアでは「ヤクザ」が最も汎用的な呼称として定着している。
語源
最も広く知られた語源説はカブ札(株札)を使ったカードゲーム「おいちょかぶ」に由来するものである。手札の合計が 8(や)・9(く)・3(ざ)= 20 → 0点となり、最も価値のない「役立たず」の手であることから、社会に属さない無用者を「やくざ」と呼ぶようになったとされる。
ただし異説もあり、「役に立たない者」を意味する「役戯(やくざ)」が転じたとする説もある。
歴史的変遷
江戸時代
ヤクザの起源は、江戸時代の的屋(てきや:露天商人)と博徒(ばくと:賭博師)の二つの系統に遡る。町奴(まちやっこ)と呼ばれた侠客たちが庶民のために権力に立ち向かうという物語が美化され、義賊的なイメージが形成された。
明治〜戦前
近代化の過程で、ヤクザは土木事業・港湾労働・興行などの分野で勢力を拡大。政治家・軍部との結びつきも強まり、「壮士」「右翼団体」との境界が曖昧な時代が続いた。
戦後〜高度成長期
戦後の混乱期に闇市を支配し急速に勢力を拡大。1960年代には全国の暴力団員が約18万人に達した(警察庁推計)。この時期に組織の近代化・広域化が進んだ。
現代
暴力団対策法(暴対法、1992年施行)以降、取り締まりの強化と社会的排除が進み、構成員数は激減。2023年時点の構成員・準構成員は約2万人とされる。一方で、半グレなど暴力団の枠外で活動する組織犯罪集団の台頭が新たな問題となっている。
社会的位置づけ
ヤクザは日本社会において独特の位置を占めてきた。完全な地下組織ではなく、事務所を構え代紋を掲げ、一定の社会的可視性を持つ点が世界の他の犯罪組織と大きく異なる。
災害時のボランティア活動や地域の祭りへの協力など、「社会貢献」を標榜する側面もあるが、これは組織の正当化・存在意義の主張という文脈で理解される。