ヤク
薬物全般を指す裏社会の隠語。特に覚醒剤を意味することが多く、暴力団の資金源としても深く関わってきた。種類別に多数の俗称が存在する。
概要
「ヤク」は、違法薬物全般を指す日本の裏社会における代表的な隠語である。「薬(やく)」の音読みがそのまま隠語として定着したもので、特に覚醒剤(メタンフェタミン)を指すことが多い。戦後の日本社会において、薬物犯罪は暴力団の主要な資金源の一つであり、「ヤク」という言葉は裏社会の構造と不可分の関係にある。
歴史・由来
「ヤク」の語源は文字通り「薬」であり、特別な変形や外来語由来ではない。しかし、この言葉が裏社会の隠語として特別な意味を帯びるようになったのは、戦後の覚醒剤乱用期に遡る。
1945年の終戦直後、旧日本軍が備蓄していた覚醒剤(ヒロポン)が民間に大量流出し、第一次覚醒剤乱用期が始まった。この時期に「ヤク」「シャブ」「スピード」といった隠語が広まり、1951年の覚せい剤取締法制定のきっかけとなった。
その後、1970年代の第二次乱用期、1990年代以降の第三次乱用期を経て、「ヤク」という言葉は薬物犯罪を象徴する隠語として社会に定着した。
詳細
覚醒剤の俗称
覚醒剤は最も多くの俗称を持つ薬物であり、「ヤク」以外にも以下のような呼び名がある。
- シャブ - 最も一般的な隠語。「骨までしゃぶる」に由来するとされる
- スピード - 覚醒作用の速さから。英語圏でも同様に使われる
- アイス - 結晶状の覚醒剤を指す。透明な結晶が氷に似ていることから
- エス(S) - 覚醒剤の英語名Stimulantの頭文字から
- ポン - ヒロポンの略称。古い世代で使われる
その他の薬物の隠語
覚醒剤以外の薬物にも、それぞれ固有の隠語が存在する。
暴力団との関係
「ヤクの売買」は暴力団にとって最大級の収益源の一つである。売人と呼ばれる末端の密売人から、仕入れ・流通を管理する幹部クラスまで、組織的な階層構造が存在する。暴力団対策法や薬物取締の強化に伴い、近年では暴力団が直接関与しない半グレ組織による密売も増加している。
関連用語
参考・注意事項
この記事は裏社会用語の解説を目的としており、薬物の使用・売買を推奨・美化するものではありません。覚醒剤の所持・使用は覚醒剤取締法により10年以下の懲役に処せられ、営利目的の場合は1年以上の有期懲役となる重大犯罪です。薬物問題に悩む方は、精神保健福祉センターや医療機関に相談してください。