法
法律
暴力団対策法
/ぼうりょくだんたいさくほう/
1992年施行。暴力団員による不当行為を規制し、指定暴力団制度を設けた日本初の暴力団規制法。通称「暴対法」。
概要
暴力団対策法(ぼうりょくだんたいさくほう)の正式名称は「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(暴力団員不当行為防止法)である。1991年に制定、1992年3月に施行された。
この法律は、暴力団(ヤクザ)組織による不当な行為を取り締まることを目的としており、指定暴力団制度の創設が最大の特徴である。それまで「任侠団体」「親睦団体」などの名目で活動してきた暴力団組織に対して、初めて法律上の規制が設けられた画期的な立法であった。
制定の背景
1980年代後半〜1990年代初頭のバブル経済期、暴力団は不動産・株式・金融業に深く関与し、その社会的影響力はピークに達していた。民間人への脅迫・不当要求事件が多発し、市民からの対策要望が高まったことを受けて制定された。
主な内容
指定暴力団制度
都道府県公安委員会が「指定暴力団」を指定する制度。指定を受けた組織の構成員(指定暴力団員)は、以下の行為について規制を受ける。
| 禁止行為 | 内容 |
|---|---|
| みかじめ料要求 | 営業者から用心棒代・場所代を要求すること |
| 示談強要 | 示談交渉への関与を強要すること |
| 融資強要 | 資金の貸付・保証を強要すること |
| 資金提供要求 | 組事務所の維持費名目での要求 |
| 不当債権回収 | 暴力的な取り立て行為 |
中止命令・再発防止命令
公安委員会は指定暴力団員の不当行為に対して、中止命令および再発防止命令を出すことができる。これに違反した場合は刑事罰の対象となる。
組長の使用者責任
組長(トップ)の使用者責任規定が設けられ、組員が不当行為を行った場合、組長も損害賠償責任を負う可能性がある。これにより、組織のトップに対する民事上の抑止力が生まれた。
効果と限界
効果
- 指定暴力団員数は施行後から継続的に減少(最盛期約9万人→現在約2万人台)
- 企業・不動産取引からの排除が進んだ
- 「暴力団員証明書」不要な排除規定が確立された
限界と課題
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 半グレの台頭 | 暴対法の適用対象外の準組織的犯罪グループが増加 |
| 組の分裂 | 規制を避けるため組織が分裂・偽装するケースが増加 |
| フロント企業 | 合法的外見を持つ企業を通じた資金獲得は規制が難しい |
関連する法律
- 暴力団排除条例(暴排条例): 2010年前後に各都道府県が制定。行政・民間からの暴力団排除を規定
- 組織犯罪処罰法(組対法): マネーロンダリング・テロ資金規制
- 犯罪収益移転防止法: 金融機関による本人確認義務など