用語
呼称暴力団任侠自称イメージ戦略

任侠団体

/にんきょうだんたい/

暴力団が自らを指す際に用いる呼称。「暴力団」という蔑称を避け、義理人情に基づく団体であることを主張する意図がある。

DATE: 2024/1/1

概要

任侠団体(にんきょうだんたい)とは、暴力団が自らの組織を指す際に用いる呼称である。法律や報道で使われる「暴力団」という言葉を避け、義理と人情を重んじる伝統的な団体であるという自己認識を表現している。

背景

「暴力団」への反発

1992年の暴力団対策法(暴対法)施行以降、「暴力団」という呼称が法的に定着した。しかし当事者たちはこの呼称を蔑称と捉え、自らを「任侠団体」「任侠道の者」と称することが多い。

六代目山口組司忍組長は、公の場で「我々は任侠団体である」と繰り返し発言しており、暴力団というレッテルに対する組織的な反論姿勢を示してきた。

任侠の伝統

「任侠」とは本来、弱きを助け強きをくじく義侠心を指す。江戸時代の侠客や博徒が体現した美徳とされ、清水次郎長国定忠治などの伝説的人物がその象徴である。

暴力団が「任侠団体」を自称する背景には、こうした歴史的な侠客の精神を継承しているという自負がある。

神戸山口組との関連

2015年の山口組分裂に際し、離脱派が結成した組織の名称は当初「神戸山口組」であったが、その後さらに分裂した一派は「任侠山口組」(後に「絆會」に改称)を名乗った。「任侠」の名を冠することで、本家である六代目山口組との差別化を図る意図があった。

社会的評価

法執行機関や報道機関は「任侠団体」という呼称を使用せず、一貫して「暴力団」の呼称を用いている。警察庁は、暴力団の本質は「暴力を背景とした不当な利益追求」にあるとの立場を取り、「任侠」の美名で実態を覆い隠すことを批判している。

一般社会においても、暴力団排除の機運が高まる中で「任侠団体」という自称は広く受け入れられているとは言い難い。

メディアにおける扱い

映画やドラマでは「任侠」の語が頻繁に使われる。「任侠映画」というジャンルは日本映画史において重要な位置を占めるが、これは暴力団の実態を美化しているとの批判も根強い。