語
用語
仁義
/じんぎ/
ヤクザ・侠客の世界における礼節・挨拶の作法。初対面では出身組織・名前・関係者を口上で述べる儀式的な挨拶を指す。
概要
仁義(じんぎ)とは、ヤクザ・侠客の社会における礼節・挨拶の作法のことである。広義には「人として守るべき道徳・義理」を意味するが、裏社会における用法では特に初対面の際に行う定型の口上(こうじょう)挨拶を指すことが多い。
「仁義を切る(じんぎをきる)」とは、この定型挨拶を行うことを意味し、よく知らない者の縄張りに入る際・他組の者に声をかける際などに不可欠な礼儀とされた。
仁義の口上(形式)
伝統的な仁義の口上は地域・組織によって細部が異なるが、おおむね以下の要素を含む:
- 出身地・出自: 「手前、○○の生まれにございます」
- 所属組織: 「○○組(一家)のお世話になっております」
- 親分・後見人: 「○○親分の子分(舎弟)でございます」
- 名前: 「手前、○○と申します」
- 来訪の理由・挨拶: 「本日はお目にかかれて光栄に存じます」
この口上を正確に述べることで「筋を通した者」として認められ、相手の組の縄張りや場所を無断使用した際も礼を尽くしたとみなされる。
「仁義なき」とは
「仁義なき」とは、この礼節・掟(おきて)を無視して行動することを指す。有名な映画「仁義なき戦い」(深作欣二監督、1973年)は、戦後の広島ヤクザ抗争を描いた作品で、タイトルは従来の任侠映画が描いた「美しい仁義の世界」への皮肉・アンチテーゼを込めている。
転じた意味
現代の一般語としても「仁義を切る」「仁義を通す」という表現が使われ、ビジネス・人間関係において「相手に先に挨拶・報告する」「筋を通して許可を得る」という意味で比喩的に用いられる。