抗争
暴力団組織間または組織内部で発生する武力衝突。銃撃・襲撃などを伴い、一般市民を巻き込む重大事件に発展することもある。
概要
抗争(こうそう)とは、暴力団組織間、あるいは同一組織内の派閥間で発生する武力衝突を指す。縄張り争い・利権の奪い合い・組織の主導権争い・メンツの問題などを原因として発生し、銃器・刃物・爆発物を用いた襲撃事件を伴うことが多い。暴力団抗争は一般市民を巻き込む危険性があり、社会的に重大な問題として扱われる。
警察用語では「対立抗争事件」と称され、暴力団対策の最重要課題のひとつに位置づけられている。
歴史・由来
暴力団の抗争は、博徒・テキヤの時代から存在する。江戸時代の侠客同士の「出入り(でいり)」がその原型であり、刀や槍を用いた集団的な武力衝突が行われていた。
近代以降、暴力団の組織化・広域化に伴い、抗争も大規模化した。特に戦後の混乱期から高度経済成長期にかけて、利権を巡る大規模な抗争が頻発した。
歴史的な大規模抗争
山一抗争(1985〜1989年)
山口組の四代目組長継承を巡る内部抗争。竹中正久四代目組長の就任に反発した一和会が分裂・独立し、両者の間で約4年にわたる激しい抗争が展開された。死者25名以上、負傷者多数を出した戦後最大級の暴力団抗争であり、一般市民にも被害が及んだ。この抗争は暴力団対策法(暴対法)制定の直接的な契機となった。
大阪戦争(1961〜1964年)
明友会と三代目山口組の間で行われた抗争。大阪のミナミを中心に銃撃事件が相次ぎ、社会に大きな衝撃を与えた。
その他の主要な抗争
抗争の原因とパターン
暴力団抗争の主な原因は以下の通りである。
抗争は一般に、最初の襲撃事件(「手を出す」)をきっかけに報復の連鎖が始まり、双方の幹部クラスの襲撃・殺害へとエスカレートする。終結は警察の介入、仲裁者(他の有力組織)による調停、または一方の壊滅・降伏によってもたらされる。
警察の対応
警察は暴力団抗争に対して、関係者の一斉検挙、事務所への立入検査、組長への中止命令(暴対法に基づく)などの対応を行う。暴対法施行後は「対立抗争」の認定により、関係する暴力団事務所の使用制限命令が発出可能となり、抗争の抑止力として機能している。
また、2012年の暴対法改正では、抗争に関与した暴力団の代表者に対する損害賠償責任が明確化され、組長個人への経済的打撃を通じた抑止効果が強化された。