恐喝罪
暴行・脅迫を手段として他人から財物を奪取し、または財産上の不法な利益を得る犯罪。刑法第249条に規定される。
概要
恐喝罪(きょうかつざい)とは、暴行または脅迫を用いて他人を畏怖させ、財物を交付させ、または財産上不法の利益を得る犯罪である。刑法第249条に規定され、10年以下の懲役に処される。
恐喝罪は「脅して金品を奪う犯罪」として一般に知られるが、法律上は「相手が怖がって自ら渡す」という点で、力ずくで奪う強盗罪とは区別される。裏社会・暴力団の資金源として古くから用いられてきた手口でもある。
法的定義と構成要件
刑法第249条は以下のように規定している:
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
構成要件
- 暴行または脅迫:相手を畏怖させる程度の行為
- 畏怖:被害者が恐怖を感じること
- 交付行為:被害者が自ら財物を渡すこと
- 財物または財産上の利益の取得
恐喝罪が成立するには、被害者が「怖がって渡した」という因果関係が必要である。暴行・脅迫と交付の間に時間的・場所的な離隔があっても成立する。
強盗罪との違い
恐喝罪と強盗罪の境界は「暴行・脅迫の程度」による:
| 犯罪類型 | 暴行・脅迫の程度 | 刑罰 |
|---|---|---|
| 恐喝罪 | 相手の反抗を著しく困難にしない程度 | 10年以下の懲役 |
| 強盗罪 | 相手の反抗を抑圧する程度 | 5年以上の有期懲役 |
例えば「金を出さないと危害を加えるぞ」と脅すだけなら恐喝罪、ナイフを突きつけて抵抗できない状態にすれば強盗罪となる。実務上、この境界の判断は微妙なケースも多い。
典型的な手口
ヤクザ・暴力団による恐喝
暴力団が企業や個人を恐喝する典型例:
- みかじめ料:「店を守ってやる」名目で飲食店から定期的に金銭を徴収
- 示談金恐喝:交通事故などに介入し、法外な示談金を要求
- 総会屋:企業の不祥事をネタに株主総会での質問を材料に金銭を要求
- 地上げ:土地の立ち退きを迫り、法外な立退料を要求
半グレ・一般犯罪者による恐喝
未遂・予備と関連犯罪
恐喝罪には未遂罪の規定がある(刑法第250条)。脅迫したが財物を得られなかった場合でも処罰される。
また、恐喝に至らない脅迫だけの場合は脅迫罪(刑法第222条・2年以下の懲役)、文書で脅した場合は強要罪が成立することもある。
参考・注意事項
恐喝罪は被害者が恐怖のため警察に届け出ない事案も多く、暴力団の資金源として社会問題となってきた。近年は暴力団排除条例の施行により、企業や個人が恐喝に応じないよう啓発活動が進められている。
恐喝の被害に遭った場合は、証拠(録音・メッセージ・振込記録)を保全し、速やかに警察に相談することが重要である。