犯罪
刑法財産犯暴力脅迫

恐喝罪

/きょうかつざい/

暴行・脅迫を手段として他人から財物を奪取し、または財産上の不法な利益を得る犯罪。刑法第249条に規定される。

DATE: 2024/1/1

概要

恐喝(きょうかつざい)とは、暴行または脅迫を用いて他人を畏怖させ、財物を交付させ、または財産上不法の利益を得る犯罪である。刑法第249条に規定され、10年以下の懲役に処される。

恐喝罪は「脅して金品を奪う犯罪」として一般に知られるが、法律上は「相手が怖がって自ら渡す」という点で、力ずくで奪う強盗とは区別される。裏社会・暴力団の資金源として古くから用いられてきた手口でもある。

法的定義と構成要件

刑法第249条は以下のように規定している:

人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

構成要件

  1. 暴行または脅迫:相手を畏怖させる程度の行為
  2. 畏怖:被害者が恐怖を感じること
  3. 交付行為:被害者が自ら財物を渡すこと
  4. 財物または財産上の利益の取得

恐喝罪が成立するには、被害者が「怖がって渡した」という因果関係が必要である。暴行・脅迫と交付の間に時間的・場所的な離隔があっても成立する。

強盗罪との違い

恐喝罪と強盗罪の境界は「暴行・脅迫の程度」による:

犯罪類型 暴行・脅迫の程度 刑罰
恐喝罪 相手の反抗を著しく困難にしない程度 10年以下の懲役
強盗罪 相手の反抗を抑圧する程度 5年以上の有期懲役

例えば「金を出さないと危害を加えるぞ」と脅すだけなら恐喝罪、ナイフを突きつけて抵抗できない状態にすれば強盗罪となる。実務上、この境界の判断は微妙なケースも多い。

典型的な手口

ヤクザ・暴力団による恐喝

暴力団が企業や個人を恐喝する典型例:

  • みかじめ料:「店を守ってやる」名目で飲食店から定期的に金銭を徴収
  • 示談金恐喝:交通事故などに介入し、法外な示談金を要求
  • 総会屋:企業の不祥事をネタに株主総会での質問を材料に金銭を要求
  • 地上げ:土地の立ち退きを迫り、法外な立退料を要求

半グレ・一般犯罪者による恐喝

  • 美人局(つつもたせ):性的関係を持った相手を脅して金銭を奪う
  • ネット恐喝:個人情報・恥ずかしい写真をばらまくと脅す
  • 借金の取り立て:違法な取り立てで返済を強要

未遂・予備と関連犯罪

恐喝罪には未遂罪の規定がある(刑法第250条)。脅迫したが財物を得られなかった場合でも処罰される。

また、恐喝に至らない脅迫だけの場合は脅迫罪(刑法第222条・2年以下の懲役)、文書で脅した場合は強要罪が成立することもある。

参考・注意事項

恐喝罪は被害者が恐怖のため警察に届け出ない事案も多く、暴力団の資金源として社会問題となってきた。近年は暴力団排除条例の施行により、企業や個人が恐喝に応じないよう啓発活動が進められている。

恐喝の被害に遭った場合は、証拠(録音・メッセージ・振込記録)を保全し、速やかに警察に相談することが重要である。

関連用語

  • 恐喝未遂罪 — 恐喝を試みたが財物を得られなかった場合
  • 強盗罪 — より強度の暴行・脅迫を用いて財物を奪う犯罪
  • 詐欺罪 — 欺罔によって財物を交付させる犯罪
  • ヤクザ — 恐喝を資金源とすることが多い組織