人物
工藤会死刑北九州総裁市民襲撃

野村悟

/のむらさとる/

工藤会総裁。市民4名への殺傷事件を指示したとして一審で死刑判決を受けたが、控訴審(2024年)で無期懲役に変更。戦後の暴力団裁判史上最重大の判決とされる。

DATE: 2024/2/1

基本情報

項目 内容
生年月日 1946年(昭和21年)11月10日
出身地 福岡県北九州
役職 工藤会総裁
一審判決 死刑(2021年9月・福岡地裁)
控訴審判決 無期懲役(2024年3月12日・福岡高裁、一審破棄)

概要

野村悟(のむら さとる)は、福岡県北九州市を本拠とする指定暴力団工藤会(くどうかい)の総裁。市民を標的とした4件の殺傷事件(1998〜2014年)を指示・関与したとして起訴され、2021年9月の一審で死刑判決を受けた。しかし2024年3月の控訴審(福岡高裁)で一審判決が破棄され、無期懲役に変更された。

工藤会における立場

工藤会は北九州市を拠点とし、「最も危険な暴力団」として警察当局から特別指定を受けてきた組織。野村は会長から総裁へと呼称を変えつつ、組織の実質的な最高権力者として君臨した。

起訴された4件の事件

1. 元漁協組合長射殺事件(1998年)

北九州市内の元漁業協同組合長が拳銃で射殺された。一審では関与が認定されたが、控訴審(2024年)では証拠不十分として野村被告を無罪認定

2. 福岡県警元警部銃撃事件(2012年)

福岡県警の元警部が銃撃された事件。工藤会による警察OBへの報復と見られた。

3. 看護師刺傷事件(2013年)

北九州市内で看護師が複数回刺された。

4. 歯科医師刺傷事件(2014年)

北九州市内で歯科医師が刃物で切りつけられた。

裁判の経過

一審(福岡地裁・2021年9月)

福岡地方裁判所は野村悟被告に死刑を言い渡した。共同被告の田上不美夫(当時の工藤会会長)には無期懲役が宣告された。判決は「組織ぐるみで市民を標的にした残虐な犯行」と断じた。

控訴審(福岡高裁・2024年3月12日)

野村側は無罪・減刑を主張して控訴。福岡高等裁判所は2024年3月12日、一審の死刑判決を破棄し無期懲役を言い渡した。元漁協組合長射殺事件については「証拠が不十分」として野村被告を無罪と認定。残る3件(2012〜2014年)については共謀を認定した。

最高裁への上告

野村・田上両被告は最高裁への上告を行い、裁判は継続中(2026年3月時点)。

野村の主張

野村は公判を通じて一貫して「指示した事実はない」と無罪を主張。証拠の多くが元幹部の証言に基づくとして信用性を争った。

社会的影響

本件は「ヤクザが一般市民を組織的に狙う」という工藤会の特異な犯罪傾向を改めて浮き彫りにした。北九州市では2012年以降、官民一体の「工藤会壊滅」宣言が出されており、地域社会を挙げた排除活動が続いている。

関連項目